
高校生の皆さんや、その保護者の方にとって、他の家庭が塾にどの程度の費用をかけているのかは、参考にしたいのではないでしょうか。
これから塾に通うことを検討している場合や、どのくらいの予算を見ておけばよいのかを考える際に、相場を知っておくことはとても大切です。
今回は、文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」をもとに、高校生のお子さんにかける塾の費用の平均額や、その分布について詳しくご紹介します。
また、発生する費用の内訳や、塾の費用相場、塾選びにおける費用面のポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
高校生が塾にかけている費用は?

まずは、高校生が塾にかけている費用について、平均額を見てみましょう。
以下は、文部科学省が行った、令和5年度子供の学習費調査の結果です。
公立高校(全日制) | 私立高校(全日制) | |
---|---|---|
年間1円以上支出者のみの平均額(千円単位) | 約382,000円 | 約375,000円 |
月額平均額(千円単位) | 32,000円 | 31,250円 |
高校生の年間の学習塾費は、公立高校に通う生徒の場合は約382,000円、私立高校の場合は、約375,000円です。それぞれ、月額に換算した場合、公立中学校が約32,000円、私立中学校の場合は、31,000円となります。
これは塾に通っていない人を除いた平均値であり、「実際に塾に通っている人たちが支払っている金額」により近いデータだといえます。
どの程度の費用をかけているかは、家庭やその状況によって異なります。そして、その分布がどのような割合になっているかも、調査されています。
以下は、かけている費用帯別の分布割合です。まずは、塾に通っていない人も含めて分布を確認してみましょう。
金額帯 | 公立高校(全日制) | 私立高校(全日制) |
---|---|---|
0円 | 61.3% | 69.9% |
~10,000円未満 | 1.2% | 1.1% |
~5,0000円未満 | 2.7% | 4.0% |
~100,000円未満 | 2.5% | 2.7% |
~200,000円未満 | 5.3% | 4.6% |
~300,000円未満 | 6.6% | 3.8% |
~400,000円未満 | 4.9% | 2.6% |
~400,000円以上 | 15.4% | 11.3% |
まずわかることは、全国の高校生の3~4割が、塾に通っているという点。公立高校に通う生徒の約39%と、私立中学校に通う生徒の約30%は、塾に通っているということが読み取れます。
ここから、「塾にかけている費用が年間0円」の人を除いた比率も確認してみます。つまり、「塾に通っている人は、年にいくら支払っているのか」というデータです。
金額帯 | 公立高校(全日制) | 私立高校(全日制) |
---|---|---|
~10,000円未満 | 3.1% | 3.7% |
~5,0000円未満 | 7.0% | 13.4% |
~100,000円未満 | 6.5% | 9.0% |
~200,000円未満 | 13.7% | 15.4% |
~300,000円未満 | 17.1% | 12.7% |
~400,000円未満 | 12.7% | 8.7% |
~400,000円以上 | 39.9% | 37.1% |
「~400,000円以上」の比率がかなり高いことが目立ちます。塾に通っている高校生のうち、4割近くが年間400,000円以上の費用をかけています。
また、「~400,000円以上」を除いたとしても、かなりの割合を、
- ~200,000円未満
- ~300,000円未満
- ~400,000円未満
が占めていることがわかります。私立と公立で若干のブレがあるものの、「塾に通っている高校生のうち、その7割以上が、年間100,001円以上支払っている」といえるでしょう。
高校生が塾に通うとどんな費用が発生する?

高校生が塾に通う場合、以下の表の内容が平均的であると述べました。
公立高校(全日制) | 私立高校(全日制) | |
---|---|---|
年間1円以上支出者のみの平均額(千円単位) | 約382,000円 | 約375,000円 |
月額平均額(千円単位) | 32,000円 | 31,250円 |
次は、この費用の内訳について見ていきましょう。
授業料・月謝
塾の種類や指導形式によって、授業料の相場は異なります。その詳細については、後ほど解説します。
地域によっても相場が異なり、大都市圏では比較的高めに設定されることが多いです。一般的な傾向として、個別指導塾は集団指導塾よりも費用が高くなります。これは、指導形式に起因するものです。
入会金・入塾金
入塾時に発生する費用として、入会金や入塾金と呼ばれるものがあります。塾によって異なりますが、10,000〜30,000円ほどが相場です。
しかし、多くの塾は、入会金や入塾金に関するキャンペーンを定期的に実施しています。そのため、割引率に優れる傾向にあります。場合によっては、全額免除となる場合もあるでしょう。
模試・テスト費
塾で模試や学力テストを受ける場合、その費用が必要です。特に受験学年である3年生は、一年に何度も模試を受けることとなるでしょう。
費用としては一回あたり5,000~10,000円が目安です。
ただし、模試やテストの実施回数や、受験が必須なのか、それとも任意なのかといった点でも塾ごとに違いがあります。支払いの方法についても、都度払う形式から、授業料に含まれる形式など、ケースバイケースです。
そのため、模試やテスト費については、事前に塾へ確認を取っておくことをおすすめします。
教材・テキスト費
塾によっては、授業で使う教材やテキストの費用が発生します。ただし、塾によっては購入の必要がなかったり、教材費込みの授業料が設定されている場合もあります。
受講する科目数が増え、購入する数が増えるほど多くの費用がかかるため、必要な教材費は確認しておきましょう。
季節講習費
夏期講習や冬期講習、春期講習などの季節講習を受ける場合、追加で費用が発生します。
すべて受講する場合、年間50,000~200,000円ほどが目安です。これは、塾の費用において、授業料に次いで大きな比率を占めます。
また、3年生の場合、受験対策のため費用が上昇する傾向にあります。
季節講習は、塾によって参加が任意なのか、強制なのかが決まっています。そのため、あらかじめ季節講習費がどのように設定されているか、確認しておくことが大切です。
その他必要な費用
教室維持費や施設管理費といった名目で、諸費用が発生する塾もあります。これは、教室を清潔に保ったり、光熱費、備品の購入などに使われる、塾の環境を維持していくための費用です。
目安として、毎月1,000〜2,000円ほどが相場となります。
しかし、塾によっては授業料に含まれている場合もあるため、この点も事前に確認しておきましょう。
高校生が塾に通う場合の費用相場

次に、塾の授業料について、費用の相場を塾の分類別にご紹介します。
集団指導塾
集団指導塾は、一人の講師が多人数の塾生に対して授業を行う形式の塾のこと。学校に近い形で授業が進行します。
費用相場は、月額37,000~62,000円ほど。年額にして、450,000~750,000円ほどが相場となります。
一度に多くの塾生を指導できる運営効率の良さから、個別指導塾と比較して割安な費用相場だといえます。
個別指導塾
個別指導塾は、講師一人がマンツーマン、もしくは少数の塾生に対して授業を行う形式の塾のこと。カリキュラムを個人レベルで組んでもらうことができ、学力にあわせたきめ細かい指導を受けられるのが特徴です。
費用の相場としては、月額12,500~46,000円ほど。年額にして150,000~550,000円ほどが目安となります。
ただし、個別指導塾と集団指導塾では基準となる授業時間数やコマ数が異なるため、単純な比較はできません。集団指導塾と同等の時間、コマ数を確保しようとすると、一回当たりの費用は個別指導塾の方が高くなる傾向にあります。
映像授業塾
映像授業塾は、塾の校舎内で授業を視聴する塾のこと。校舎に足を運ぶ点が、オンライン指導塾とは異なります。洗練された講師の授業動画であるため、非常に高品質な授業を受けられる点が特徴です。
基本的な考え方として、受講した講座の数に応じて費用が増えていきます。おおむね、年額250,000~300,000円ほどが目安となります。
また、費用は「毎月いくら」ではなく「一講座いくら」という形式です。この点、集団指導塾や個別指導塾と費用体系が大きく異なります。
高校生の塾を費用面で選ぶポイント

最後に、高校生の塾を選ぶ際の、費用面におけるポイントについてご紹介します。
志望校の受験形式とあっているか確認する
大学受験は、英語・数学・国語・理科・社会の5教科すべての試験を受けるとは限りません。入試科目は大学によって異なり、受験科目が絞れる場合があるのです。
そのため、志望大学の入試科目にあわせて塾を選ぶと、費用を安くできるでしょう。
反対に、5教科すべてに加えて、他の科目を必須とする大学もあります。また、国公立大学や難関大学においては、二次試験で小論文や、総合問題が出される場合もあります。
志望校の受験形式と合致している塾を選ぶことで、コストパフォーマンス良く、必要な対策を実施することができます。
年間の総額費用を把握しておく
費用は、月額ではなく年額で把握しておきましょう。月謝だけでなく、年間で発生する費用をトータルで計算することで、その塾で発生する費用の全体像が見えてきます。
月謝が安く見えても、「その他諸々の費用を年額にしたら、それほどでもないな……」というケースも起こりえます。
そのため、費用は年間の総額費用で把握するようにしましょう。
大学の受験料も把握しておく
「塾の費用」とだけ考えていると見落としがちですが、「受験に関する費用」という視点では、大学の受験料のことも、忘れてはなりません。
以下は、代表的な受験料の費用を、まとめたものです。
対象のテスト・入試 | 受験料 |
---|---|
共通テスト3教科以上 | 18,000円 |
共通テスト2教科以下 | 12,000円 |
国公立大学2次試験 | 約17,000円 |
私立大学 | 約30,000~35,000円 (医学部など一部学部は約40,000~60,000円) |
このほか、受験会場までの交通費や、場合によっては宿泊費用なども必要となります。
少なくない金額が発生するため、受験料についてもきちんと把握しておくことが大切です。
まとめ
高校生が塾に通う場合、その費用は年間で380,000円ほどが一般的です。塾に通っている高校生のうち4割近くは4割近くが年間400,000円以上の費用をかけています。
また、中間のボリュームゾーンを含んだ場合、「塾に通っている高校生の7割以上は、年間100,001円以上支払っている」といえるデータがありました。これが、高校生における塾の費用の予算感だといえるでしょう。
年間の費用には授業料だけでなく、入会金や教材費、季節講習費、その他の経費などが含まれています。授業料以外の費用では、季節講習費が大きな割合を占めています。そのため、受験を視野に入れる場合は、具体的な金額を把握しておくと、計算が立てやすくなるでしょう。
こうした諸々の金額を含んだ状態で費用を計算し、または他の塾と比較検討するため、「年間に発生する金額」という括りで費用を把握しておくことで、予想外の費用を防ぐことができます。
また、金額というのはあくまで「無理のない範囲で通うため」のものであり、塾の学習効果の良し悪しではありません。そのため、お子さんの学力や性格にあった塾を選ぶことが重要である点は、覚えておきましょう。
今回の記事が、お子さんの塾選びの参考になりましたらと思います。