
「塾を辞めようかな……」という考えが浮かんだとき、さまざまな心配が頭を過りますよね。
一方で、塾を辞めるというのは大きな変化。すぐにできる決断でないことも事実です。どうしても、多くの迷いが出てくると思います。
そこで今回は、塾を辞めようと思っている塾生の方や、お子さんからそうした相談を受けた保護者の方に向けて、塾を辞める際に知っておいてほしいこと、気を付けるべき点について解説します。
塾を辞めることに気まずさを感じる必要はない

まず安心していただきたい点があります。それは、「塾を辞めることを、後ろめたくを感じる必要はない」ということです。
お世話になった場所から離れるというのは、申し訳ない気持ちが沸き起こるでしょう。
しかし、気にすることはありません。なぜなら、必要だから塾に通い始めた以上、不要となれば塾に通わなくなるのも必然だからです。
もちろん、「本当に辞めてもいいのか?」という部分は、精査が必要です。塾を辞めるとなればその影響は大きく、今後の成績や学業を左右することになりかねないためです。
しかし、その決定を下したなら、過度に後ろめたく感じる必要はありません。引き止めはするものの、塾側も最終的には退塾の決断を尊重してくれます。
「向こうも長く塾をやっている、慣れたものだろう」という気持ちでいましょう。
塾を辞める前に把握しておくべきこと

塾を辞めるというのは、大きな決断。その決断を下す前に、いくつか把握しておきたい点があります。
塾を辞める理由をはっきりとさせておく
始めに、塾を辞める理由を明確にしましょう。
なぜなら、多くの場合において、退塾を申し出ると引き止めにあうためです。
もちろん、この引き留めにビジネス的な側面があることも否定しません。引き止めを行うよう、現場に指示を出す塾もあります。
しかし、そもそも勉強自体が、人から教わったほうが効率のよいもの。塾生のことを思えば、継続を推奨したいものでもあります。
理由を言語化しておくことで、引き止めにあってもしっかりと断ることができるでしょう。
言語化の例として、以下のようなものが挙げられます。
- 思っていたように成績が上がらなかった
- 講師と性格的にあわなかった
- 塾のレベルとあっていなかった(簡単すぎた・難しすぎた)
- そもそも塾が遠く、通塾の負担が大きかった
- 体力的に、部活との両立ができなかった
- 塾の人間関係が辛かった
辞める理由を言語化し、必要とあれば伝えられるようにしておきましょう。
また、この過程で、塾を辞める以外の選択肢が見つかる場合もあります。
講師があわない場合は担当の変更を、授業のレベルがあわない場合はクラスの変更をするなど、塾を辞めずとも原因を解消できる場合があるのです。
他にも、原因を言語化しておくことで、学習環境の改善も望めます。例えば、塾の立地が悪いせいで通塾の便が悪ければ、次は通塾が簡単な塾を選べますよね。
このように理由の言語化は、今後の学習環境の構築にも大いに役立つのです。
今後の勉強方法を検討しておく
辞める前に、今後の勉強方法をどうするかよく考えておきましょう。
なぜなら、今後は塾のサポートを受けられなくなる以上、代わりとなる学習環境が必要だからです。
転塾やオンライン指導、家庭教師、もしくは自主学習など、選択肢は広くあります。できる限り、事前に何かしらの勉強方法を検討しておくことが大切です。
言語化した理由を踏まえ、塾を辞める原因となった不満点を解消できる勉強方法を見つけておきましょう。
通っている塾の退塾方法を調べておく
退塾の意志が固く決まったら、退塾方法を調べましょう。
「退塾の旨を伝えるだけじゃダメなの?」と思われるかもしれません。しかし塾によっては、退塾届などの書類が改めて必要な場合があります。
退塾を決めているため、塾にその旨を伝えてしまって構いません。その際に、退塾届などの必要書類の有無についてチェックしておくとよいでしょう。
返金があるかどうか調べておく
返金の有無についても調べておきましょう。
ほとんどの塾には、返金に関するポリシーが定められています。入塾した際の書類に含まれているため、一度見直してみましょう。
傾向として、多くの塾において入金後の返金は不可となっています。また、返金のある塾であっても、無条件なことは少ないです。
そのため、返金のポリシーについてよく読んでおきましょう。
この点は、お金が関わる話です。未成年の方は自分一人で判断せず、保護者の方と一緒に確認しましょう。
塾を辞める時の伝え方

次に、退塾の意向を伝える方法についてご紹介します。
電話で伝える
もっとも無難な伝え方が、電話です。相手の顔を見なくて済むため、冷静に話すことができます。
加えて、その場で退塾のやり取りを終えやすいのも特徴です。電話の場合、メールやチャットのような期間を跨いだラリーが発生しません。
こういった意味でも、電話はスピーディーで無難な選択肢だといえます。
ただし、話題が話題なだけに、いきなり電話をかけてもしどろもどろになってしまう可能性もあります。
話す内容を事前に考えておき、メモに起こしておくとよいでしょう。
メールやチャットで伝える
メールやチャットアプリの場合、文章を考える時間が十分に取れる点がメリットです。
「電話や対面しての会話では、雰囲気に飲まれてしまいそう……」と感じる場合に、有効な選択肢だといえます。
ただし、会話のラリーが何往復も必要になったり、塾側から電話がかかってくることはあります。
そのため、メールやチャットと使用する場合も、伝える内容は事前にまとめておくようにしましょう。
直接伝える
お礼の気持ちを伝えたい場合、校舎に足を運ぶのはとてもよろこばれるでしょう。
ただし、今回のような負い目を感じやすい状況で校舎に出向くというのは、人によってはハードルが高く感じます。
もし気まずいようでしたら、電話を選択しましょう。
塾を辞める時に注意すべき点

塾を辞める際の注意点は、以下の通りです。契約が関わる部分は、特に気を遣う必要があります。
伝えるタイミングに注意
退塾を伝える時期には、注意が必要です。
早く言い過ぎると後から撤回しづらくなりますし、人間関係にも気まずさが生まれます。
反対に遅すぎると、月謝の引落日の関係で、費用が多くかかってしまうかもしれません。また、「月謝を払ってしまったので、辞めるのは後一カ月後」となる場合もあります。
基本的に「退塾の意思が固まった後で、かつ、翌月の引落日まで」の期間に伝えることがベストです。この期間であれば、月謝を過剰に払ってしまうことを防げるでしょう。
また、多くの場合、契約書や規約の中に退塾に関する記載があります。一度確認してみましょう。
退塾届などの手続きがあるか確認
退塾の際、退塾届などの書類の提出を求められる塾もあります。
この点、塾によってルールが定められている場合があるため、しっかり確認しておきましょう。そのルールにのっとって、手続きを進めなければなりません。
退塾の意向を伝えたとして、手続きは別途発生するケースもあります。この点、留意しておきましょう。
菓子折りやお礼の品は?
お礼の品物については、基本的に不要です。
ただ、もし塾へのお礼言葉やを伝えたかったり、講師にあいさつをしておきたい気持ちがある場合は、お礼を用意しても問題ありません。
もちろん、お礼の言葉だけでもかまいません、ぜひ感謝を伝えてみてください。
塾側も、礼を尽くしてくれたことをうれしく感じるでしょう。
辞めることが確定するまでは言わない
非常に大切なことですが、辞めると確定するまでは言わないようにしましょう。これは、塾だけでなく、友達に対しても同様です。
撤回が難しくなりますし、塾側から先んじて引き止められる可能性もあります。また、塾側の対応が変化することも、ないとはいえません。
そのため、辞める意思が固まるまで、家族以外には言わないようにしましょう。
反対に、家族へは積極的に相談することが大切です。一人で抱え込まず、早い段階で助けを借りるようにしましょう。
まとめ
塾を辞めることについて、後ろめたさを感じることはありません。必要性と今後のことを考え、冷静に退塾を判断できていれば、それで大丈夫です。
ただし、塾を辞める理由を明確にしておくこと、今後の勉強方法を検討しておくこと、退塾の手順と返金に関するポリシーについては調べておくとよいでしょう。
退塾の意思を伝える手段は、電話がもっとも無難です。相手の顔を見ずにすみ、退塾のやり取りをコンパクトに済ませられます。
しかし、退塾を伝える時期については、扱いが少しデリケートです。基本的に伏せておき、意思が固まるまでは黙っておきましょう。
契約や返金については、多くの場合入塾時の書類に退塾に関する記載があるため、事前にチェックしておきましょう。この点、保護者の方と一緒に確認することで、アクシデントを予防できます。
今回は塾を辞める方法と、注意点についてご紹介しました。
いま退塾を検討中の場合、まずは、塾を辞めたい理由を言語化してみましょう。そこを起点に考えていくと、辞めてからの後悔を防ぎやすくなります。
本記事の内容が、皆さんの最適な学習環境の構築に役立てば幸いです。