
勉強が徐々に難しくなってきて、そろそろ受験についても意識し始める時期……。
このような中学生・高校生の皆さんや、そうしたお子さんをお持ちの保護者の皆様にとって、「どんな塾を選べばいいのか?」というのは、気がかりなポイントです。
特に、塾選びで最初に迷うのは、「集団指導塾と個別指導塾って何が違うの?」という点。
しかし、現在の学力や勉強へのモチベーションは、お子さんの状況によってさまざま。どちらを選ぶべきか迷っている方は、多くいらっしゃいます。
そこで今回は、そうした疑問を抱く中学生・高校生の皆さんや、保護者の皆様に向けて、集団指導塾とはどんな塾なのか、集団指導塾の特徴やメリット、デメリットについてご紹介します。
どのようなお子さんが集団指導塾に向いているのかについても触れますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
集団指導塾とは?

講師一人から多数の塾生が授業を受ける指導スタイルの塾のことを、集団指導塾と呼びます。
学校の授業をイメージしてみると、わかりやすいでしょう。
教室に多くの塾生が集まり、講師から同じ内容の授業を受けます。人数は11~20人、もしくはそれ以上の規模です。
個別指導塾との違い
講師一人が少数もしくはマンツーマンで塾生に授業を行う指導スタイルの塾を、個別指導塾と呼びます。講師一人が、個人や小さなグループを担当するイメージです。
例えば、講師がある塾生を指導している最中に、別の塾生が問題を解いています。講師は指導を終えると、さっきまで問題を解いていた塾生の指導に移る。そして、指導を受けていた塾生は、別の問題に取りかかります。このようにして、授業が行われます。
また、授業の内容も個々人向けにカリキュラムにのっとって進行します。そのため、問題の難易度やペースは人それぞれです。
集団指導塾は、全体に対して均一な授業を行うスタイル。対して個別指導塾は、個々人向けに設計した授業を行います。
二者の差異は数多くあるものの、そのどれもが、この根本的な違いによるものだといえます。
集団指導塾の特徴

次に、集団指導塾の特徴についてご紹介します。
一定のペースで授業が進められる
集団指導塾は、一年を通した学習カリキュラムがあらかじめ設定されています。そのため、授業は一定のペースで進行していきます。
この点、「一定のペースを保って勉強したい」という気質の人に向いているといえます。
また、授業にきちんと出席すれば受験までの範囲がカバーできるように作られているため、こうした点で安心感もあるでしょう。
プロの講師から受けられるハイレベルな授業
集団指導塾の多くは、専業のプロ講師が指導を担当する傾向にあります。
少し極端な例ですが、メディア露出のあるような有名講師を思い浮かべると、イメージしやすいでしょう。
講師や授業の水準が高く、難しい問題をよりわかりやすく理解する授業を受けられます。難関校の受験には、特に向いている授業形態だといえます。
集団指導塾のメリット

集団指導塾に通うことの代表的なメリットを三つ、ご紹介します。
周囲の生徒から良い刺激を受けられる
周囲の仲間からポジティブな影響を受けやすい点は、集団指導塾の代表的な恩恵の一つ。
人間は、集団からの影響を受けやすい生き物です。そして、これは良い刺激であっても同じ。勉強している集団の中に入るだけでも「自分も勉強しなくちゃ」という気になれます。
意思の力だけでなく、環境の力によって勉強に取り組みやすくなる点は、大きなメリットだといえるでしょう。
受験に関する情報が豊富
受験に関する情報量やアンテナの感度において、集団指導塾は優れる傾向にあります。
なぜなら、集団指導塾は受験を目的としたカリキュラムが展開されることが多いためです。質・量共に、個人ではとても集めきれないような情報やノウハウが蓄積されています。
この点、進路や受験全般に関する相談など、勉強以外のサポートも頼れるのは、うれしいポイントでしょう。
費用が安価になる傾向がある
集団指導塾の特徴として、他の学習方法と比較して費用が安価である点が挙げられます。
これは主に、運用コストによるものが大きいです。講師一人が多人数の生徒を同時に指導するため、授業の運用効率に優れます。この点が、価格に反映されているのです。
プロ講師からハイレベルな授業を受けやすいという特徴も鑑みると、集団指導塾は安価にハイレベルな授業を受けやすい塾だといえるでしょう。
集団指導塾のデメリット

良い点ばかりではなく、注意しておきたい点についても目を向けておきましょう。
授業についていけない可能性がある
集団指導において、注意が必要な点があります。それが、「授業についていけない可能性」をぬぐい切れないことです。
計画された画一的な授業を受ける都合上、塾生側は「塾の授業についていく」ことが求められます。勉強の遅れが出た場合も、塾の授業速度を遅くしてもらうことができません。
そのため、「塾の授業についていけなくなった」という現象に陥らないよう、主体的な努力が必要なのです。
一度その状況に陥ると、「前回の授業がわからなかったせいで、今回の授業もわからない」という負の連鎖を引き起こしかねません。
また、場合によっては授業中の質問がしづらい点も注意しましょう。「大人数の教室での質問は苦手……」という人の場合、授業後に質問するなど、個人での対応が求められます。
一定の基礎学力が求められる
先述したように、集団指導塾では塾生が塾の授業に追いついていく必要があります。
なぜなら、塾の授業というのは学校の授業のように、「前回の内容は理解できている」という前提に基づいて進むためです。
そのため、一定の学力を下回っているとリスクがあります。
そもそも授業についていけなかったり、授業についていけるようになるまでの道のりが険しいなど、スタートラインから遅れをとる可能性が高まるためです。
加えて、基礎学力に不足がある場合、「わからないから楽しくない」というループに陥る可能性も高いです。そういった方面からモチベーションに悪影響が出る懸念もあります。
もし基礎学力の不安が大きい場合、個別指導によって基礎固めをしてから集団指導塾にステップアップしていくのも手段の一つ。この点、覚えておきましょう。
急な休みに対応できない場合がある
急な休みへの柔軟な対応は、期待しづらい傾向にあります。なぜなら、多くの集団指導塾は振替授業に対応していないためです。
この点は、授業のカリキュラムやスケジュールが綿密に組まれている影響が大きいでしょう。あくまで教室単位に設定されたカリキュラムを、個別に対応するのは難しいためです。
一対多という集団指導塾の性質上やむを得ない面があるとはいえ、無視できないデメリットでもあります。
集団指導塾に向いている子

最後に、適したお子さんの特徴についてご紹介します。あてはまるものがないか確認しながら、読み進めてみてください。
負けず嫌いで競争心が強い
集団が個人に与える影響には、競争も含まれます。そのため、負けず嫌いで競争心が強いお子さんにとっては、特に刺激的でしょう。
集団指導塾では、クラス内の学力は同程度となりやすいです。これは、塾のクラスそのものが同程度の学力の塾生を集めて作られやすいため。
こうした環境下で、テストの結果や授業の理解度について話題になることは、競争好きなお子さんの気持ちを引き出してくれるでしょう。
勉強に対するモチベーションが高い
集団指導塾のメリットを享受し、問題なく成績を上げていく。このためには、勉強への熱量が不可欠です。
そのため、勉強に対するモチベーションがそもそも高いお子さんの場合、集団指導塾はとても高い学習成果を期待できるといえます。
授業についていく、授業を積極的に理解しようとする、わからないことを解消しようと自分から行動する。こういったお子さんにぴったりです。
反対に、モチベーションがいまいちなお子さんには、集団指導塾がミスマッチとなることがあります。
集団指導塾の授業は、個人に対してではなく教室全体に向けて実施されます。そのため、「わからなくても授業は進んでしまう」のです。この点は注意しましょう。
積極的に質問ができる
積極的に質問できる姿勢は、非常に素晴らしいものです。集団指導塾において、この性格は大いに役立ちます。
集団指導塾は、多人数での授業が前提です。そのため、集団の中で「質問しづらいな……」と、縮こまってしまう可能性があります。
また、授業中にわからないことがあっても、授業は進行してしまいます。そのため、「質問しないまま授業を終え、かつ授業外でも質問をしない」ということが起こりえます。
こうした状況は良いとはいえず、できれば避けるべき事態です。それを未然に防げることは、大きな利点。
したがって、こうしたお子さんは集団指導であることの恩恵を受けやすいのです。
十分な基礎学力がある
すでに一定の学力がある場合、集団指導塾の懸念点である「塾の授業についていけるか」という点を払拭できます。
講師の水準の高さから、その学習効果は十分。「基礎は十分固まっているから、今よりも少し上を」という気持ちが芽生えているのなら、集団指導塾はその期待に応えてくれます。
学校の授業に十分ついていける程度の基礎学力があるなら、十分検討に値するでしょう。
難関校にチャレンジしたい
難関校の合格は、多くの集団指導塾が得意としている分野です。
集団指導塾は、もともと受験を目的にカリキュラムが設計されていることが多い授業形態。難関校の合格となれば、それは集団指導塾が提供するサービスの本命だともいえるでしょう。
加えて、難関校合格のためのクラスが設けられている塾もあります。もし難関校にチャレンジしたい場合、そうした塾を探してみましょう。
まとめ
集団指導塾とは、講師一人が多数の塾生に対して授業を行う指導スタイルの塾です。
その特徴としては、一定のペースで授業を進められる、プロの講師から高品質な授業を受けやすいという点が挙げられます。
集団指導塾に通うメリットについて、代表的なものは三つ。周囲の仲間からポジティブな刺激を受けやすいこと、受験に関する情報が豊富なこと、費用を抑えやすい傾向があることです。
特に、比較的安価にハイレベルな授業を受けやすいのは、他の学習方法にはないメリットだといえます。
デメリットとしては、授業についていけない可能性があること、一定の学力が求められること、急な休みに対応出来ない場合があることです。この点、集団指導という形態上仕方のないことではあるのですが、考慮すべき点でもあります。
集団指導塾に向いているのは、負けず嫌いで競争心が強い子、勉強へのモチベーションが高い子、積極的に質問できる子、難関校に挑戦したい子です。こうしたお子さんの場合、メリットをより多く受けられます。
今回は、集団指導塾とは何か、基礎知識とメリットについてお話しました。ご紹介した内容が、皆様の塾選びの参考になりましたら幸いです。