
「塾ってそもそも何?」
「予備校や学校と、何が違うの?」
「塾って、何をするところなの?」
と、疑問に感じたことはないでしょうか?
実は、塾と学校、塾と予備校には明確な違いがあり、それぞれ別物です。目的や期待する学習効果が異なるため、これらの違いを知っておくことで、学習方法の選択肢が大きく変わってきます。
今回は、塾の定義や成り立ちについて触れながら、塾とはどんなところなのか、学校や予備校との違い、塾の種類とその特徴、塾の指導スタイルごとの特徴について、ご紹介します。
塾とはどんなところ?何をするの?

塾とは、正式名称を「学習塾」といいます。
goo辞書によると、その定義は「年少者に学問・技芸を教える私設の小規模な学舎」。つまり、「勉強を教える、私的な(公的機関でない)教育機関」のことです。
その始まりは古く、江戸時代に広がった学習施設である、「寺子屋」にあるといわれています。
9~18歳程の幅広い年齢層の子どもが、読み書き、そろばんなどの勉強をしていました。そのような歴史が今もなお続き、塾という形になっているわけです。
現代における塾は主に、以下の2つの役割を持ちます。
- 公的な学校システムの授業に関する、学力の補助・補強の場
- より高等な教育を受けることを目的に行う、受験に向けた学力向上の場
つまり塾とは、「学校以外で、勉強の指導を受けられる場所」であり、「進学のため」や「学校の授業についていくため」に、通う場所だといえるでしょう。
学校・塾・予備校の違い

次に、学校と塾、塾と予備校が、具体的にどのように異なるのか、ご紹介します。
それぞれの違いを知ることで、塾の立ち位置が、よりつかみやすくなるでしょう。
学校
学校とは、教師が生徒や学生に対して、計画的・組織的に教育を行う場所のこと。
今回の話においては、公的に認められている教育機関にあたります。具体的には、義務教育を行う小学校・中学校と、高等教育を行う高等学校です。
小学校・中学校はもちろん、高等学校も、国が定める「学習指導要領」というカリキュラムにしたがって、授業を行います。これは、私立の学校であっても同様です。
そのため、学校とは、「公的に認められ、定められたカリキュラムに基づいて教育を行う機関」だといえます。
塾
塾とは、学校でない、企業や民間の団体が運営する学習機関のことです。
学校での勉強を補完したり、受験のためにより高度な授業を行うことを、主な目的としています。
塾は、カリキュラムを自由に設定することが可能です。これは、学校とは異なり、塾は国が定める学習指導要領に従う必要がないためです。
このような理由から、公的な教育機関である学校と比べて、カリキュラムや指導方法に広い幅があるのが、塾の特徴だといえます。
予備校
予備校は、主に高校生や高校卒業生を対象に、大学受験対策を行う学習機関を指します。
塾との違いは、その対象者と目的の幅です。塾は小学生から高校生までを対象として、学校の授業の補習から受験対策まで、幅広く行います。それに対して予備校は、基本的に高校生や高校卒業生を対象に、大学受験対策を行います。
また、予備校は大規模であることが多く、授業の質について、水準が高い傾向にあるのも特徴です。共通テスト対策や総合型選抜、学校推薦など、多様な入試に対応できる予備校が多くあります。
このように予備校は、大学受験により特化した学習機関である点が特徴です。
塾の種類とその特徴

次は、塾の種類とその特徴について、ご紹介します。
塾は目的によって、大きく3つの種類に分けられます。
進学塾
進学塾は、志望校合格を目指した、受験対策を目的とした塾です。
特徴としては、応用問題や入試対策を中心とした授業が行われる、という点が挙げられます。受験に対するノウハウが充実しており、傾向として、講師の水準も高いです。模試やテストも豊富なため、進学塾は、より高度な受験対策を行うのに特化した塾だといえるでしょう。
ただし、進学塾では、学校の授業スピードと塾の授業のスピードが、連動しないという点には注意する必要があります。学校の授業を先取りした授業となったり、「学校で習う基礎的な内容は、すでにできている」という前提で授業が進むためです。
このような理由から、進学塾は「現段階で学校の授業をきちんと理解できており、より進学を意識した受験対策がしたい人」向けの塾といえます。
補習塾
補習塾は、学校の授業の予習・復習を中心とした授業を行う塾です。
学校の授業と同程度のペースで進行し、基礎学力を身に着けるための授業を行います。
「勉強の習慣をつけたい」、「学校の授業についていくのが難しい」、「定期テストの点数がイマイチ」という人におすすめです。また、学校の授業を補う一環で、定期テスト対策も充実しています。
そのため、現在成績が良い人であっても、推薦入試を意識して内申点をアップさせたい場合、補習塾はとても有効です。
総合塾
総合塾は、進学塾と補習塾、両方の役割をあわせ持つ塾です。
多くはクラス分けやコース分けがされており、基礎から応用まで、受けられる授業に幅があります。そのため、塾生からの要望に広く応えられるのが特徴です。
メリットとしては、自分の学力にあったレベルの授業を受けることができる点が挙げられます。
加えて、コースの変更によって授業の難しさを調整できるため、
- 最初は補習コースから始めたが、成績が上がってきたので進学コースへ移行する
- 進学コースの勉強についていくのが難しくなったため、補習コースで基礎を勉強し直して挽回する
など、学力に応じた対応が可能です。
また、総合塾は大手であることも多いため、受験に関する情報が豊富な点も、総合塾の強みといえるでしょう。
塾の指導スタイルとその特徴

次に、塾の指導スタイルと特徴について、ご紹介します。
学習目的だけではなく、塾の指導スタイルによっても、大きく分けて3つの種類があります。
集団指導塾
集団指導塾は、一人の講師が多数の生徒に対して授業を行うスタイルの塾です。
学校の授業を思い浮かべると、イメージしやすいでしょう。決められたカリキュラムに基づいて授業が進行していく点も、学校の授業と同様です。
授業の質についての水準が高い傾向にあるため、高レベルな授業を受けやすいのが特徴だといえます。
一方で、マンツーマンの指導を授業中に期待することはできないため、この点、注意が必要です。
個別指導塾
個別指導は、講師一人が少数の塾生に対して、もしくはマンツーマンで、授業を行うスタイルの塾です。
カリキュラムは塾生ごとに設定され、授業の内容そのものを、現在の学力にあわせた最適なものにチューニングできるという特徴があります。また、少人数のため質問がしやすく、わからないことをすぐに解決することが可能です。
そのため、きめ細かい指導で成績を上げていきたい人や、大人数の教室で質問するのが苦手な人に向いています。
ただし、集団指導塾に比べて費用が割高になりやすいため、この点には、気を付けておく必要があるでしょう。
オンライン指導塾
オンライン指導塾は、インターネットを通して授業を受けるスタイルの塾です。
大人数でライブ授業を受ける形式から、個別指導をオンライン上で受けるもの、授業の録画を視聴するものなど、さまざまな種類があります。
インターネット環境があれば受講する場所を選ばないのは、大きなメリットだといえます。
反面、モチベーションの維持に課題がある点には注意です。塾の教室という環境や、他の塾生から刺激を受けられないため、勉強に一定の主体性が求められます。
塾で行われる授業はどんなもの?

塾で行われる授業は、その種類や授業スタイルによってさまざまです。
塾のスタイルには大きく分けて、
- 受験を強く意識する「進学塾」
- 学校の授業に関する理解を補う「補習塾」
- 両方の特徴を持つ「総合塾」
の3種類があり、授業の形態も大きく分けて、
- 講師一人が、多人数へ授業する形式の「集団指導塾」
- 講師一人が、少数もしくはマンツーマンで授業を行う「個別指導塾」
- インターネットを通して、さまざまな形式の授業を受けられる「オンライン指導塾」
の3種類があります。
この組み合わせだけでもさまざまなパターンがあり、一概に「塾ではこういう授業が行われます」と、言い切ることはできません。
もし塾を選ぶときは、情報を収集するだけでなく、実際にその塾の授業を受けてみることも検討してみましょう。なぜなら、体感した事実は、非常に信頼できる情報だからです。
多くの塾では無料体験を実施しているため、ぜひ一度、参加してみてください。
まとめ
塾とは、正式名称を「学習塾」といい、「企業や民間の団体が運営する学習機関」のことを指します。
塾の主な目的は、進学のための学習や、学校の授業の補完。学校や予備校と異なり、塾ごとにカリキュラムや指導方法に幅があるため、ニーズにあった学習方法を選択できるのが特徴です。
塾は目的別に、受験対策を目的とした「進学塾」、学校の授業を補完する「補習塾」、進学塾と補習塾の両方の特徴をあわせ持つ「総合塾」の、3つに分類されます。
加えて、塾は指導スタイルによっても細分化に分かれます。一人の講師が多人数の塾生に講義する「集団指導塾」、講師一人が少数の塾生もしくはマンツーマンで指導を行う「個別指導塾」、インターネット上で授業を行う「オンライン指導塾」の3つです。
実際に行われる授業は、塾ごとの目的や指導スタイルの組み合わせによって、さまざまなパターンに分かれます。そのため、塾を選ぶ際は、自分にあったスタイルを選ぶことがとても重要です。無料で授業を体験できる塾も多くあるため、塾選びの際は、ぜひ活用してみてください。
今回は、塾とはどんなところなのか、学校や予備校との違いについて、ご紹介しました。この記事の内容が、皆さんが塾についての理解を深める、きっかけになればと思います。