
中学受験を意識したとき、「中学受験はいつから準備を始めたらよいの?」と悩むご家庭は、少なくありません。
「早く始めるのは子供に無理をかける気がするけれど、遅いと受験対策が間に合わないかも……」
こんな不安を、抱えていないでしょうか?
実際、中学受験の準備は早すぎず遅すぎず、最適なタイミングでスタートすることが望ましく、効率的です。
そこで今回は、中学受験を意識する小学生のお子さんを持つ保護者の皆様に向けて、中学受験に関する準備を始める学年、低学年のうちにやっておきたいこと、中学受験に備えて保護者の方ができることについて、お話します。
中学受験の準備を始めるタイミング

まずは、中学受験の本格的な対策を始める前の段階、準備期間をいつから見積もればよいのかについて、ご紹介します。
小学3年生のタイミングがベスト
小学3年生は、中学受験の準備をスタートするベストタイミングです。
なぜなら、小学3年生は早すぎず遅すぎず、十分な学習時間や話し合いの時間を確保できるタイミングだからです。受験勉強の基礎となる考え方や学習習慣を身に着ける、十分な時間があります。
ここでいう準備とは、学習習慣を身に着けることに加え、「中学受験をするかどうか?」という話し合いも含まれます。
加えて、進学塾における新学年のカリキュラムも、小学3年生の2月から始まります。そのため、外部の環境的な要因としても、中学受験の準備を始めるタイミングとして適しているといえます。
塾に通うのは小学4年生からがベスト
小学4年生は、塾に通い始めるベストタイミング。なぜなら、進学塾が中学受験対策のカリキュラムを開始するタイミングが、小学4年生からだからです。
そのため小学4年生が始まった時点で、既に塾に通っている状態であることが理想的です。
また、一般的に、中学受験の勉強に必要な期間は3年間だといわれます。
この期間を考慮すると、小学4年生から受験勉強を開始することは、受験対策に必要な時間を十分確保する意味でも重要だといえます。
中学受験は、非常に特殊です。高校受験、大学受験と異なり、学校の授業が理解できるだけでは、対応できません。出題される問題の多くは小学校の授業範囲の外であり、中学校で勉強する範囲の問題が出されます。
そのため対策は難しく、しかも、勉強するのはまだまだ心も体も成長段階にあるお子さんです。
したがって、十分な受験対策を行うために十分な時間を確保できるベストなタイミングです。そのうえで塾が受験対策カリキュラムを開始する小学4年生は、まさに理想的だといえます。
小学1年生、2年生からだと早い?
中学受験の難しさや特殊性を知ると、「早いうちに受験勉強を始めた方が、効果的では?」と思われる保護者の方も、多くいらっしゃいます。
しかし、早すぎる時期に中学受験を準備することは、あまりおすすめできません。
なぜなら、あまりにも早すぎる受験勉強の開始は、かえって逆効果を生むかもしれないためです。勉強一辺倒の生活となってしまうと、勉強に対してネガティブな感情を持ってしまい、お子さんが受験を放棄してしまう可能性があります。
「将来のため」といっても、中学受験の重要度は、お子さんにはまだわかりません。だからこそ、「勉強は楽しい」と感じる体験が大切です。
加えて小学校低学年は、まだまだ遊びや好奇心、社会性の発達に十分な時間を割きたい時期。過度な学習よりも、勉強することの楽しさや、人生におけるさまざまな体験、経験を重視したほうが、プラスに働きます。
中学受験をしたいかどうかといった点を話し合うのは良いですが、勉強面を具体的に強化するのは、まだ早いといえるでしょう。
それよりも、小学3年生、4年生に備えて、基本的な読み書きや計算をきちんとできるようにしておくことが重要です。
今後の学力を積み上げる「基礎の基礎」と呼べる力をきちんとつけながら、たくさんの経験をさせてあげましょう。
小学5年生、6年生からでは遅い?
小学5年生、6年生から中学受験の準備を始めることについて、一概に「遅い」とはいえません。お子さんに強いやる気があり、充実した学習環境があれば、合格も不可能ではありません。
しかし、小学4年生のうちに準備を始めることに比べて、ハードなスケジュールとシビアに結果を出すことを要求されます。
先述した通り、中学受験の対策は、本来3年かかるものです。それを2年、1年でやるわけですから、その分、勉強を詰め込む必要が生まれてきます。
また、もし基礎的な学力が定着していない状態で受験対策を初めても、受験対策以前の基礎の段階を補うのに時間がかかることもあり得ます。
結果として、限られた期間で大きな結果を出さなければならないため、お子さんの負担は大きなものとなるでしょう。加えて、お子さんのそうした状況を見守る保護者の方の心理的負担も、無視できないものです。
小学5年生、6年生からの受験対策が「遅い」わけではありません。しかし、可能な限り3年生の2月には入塾を確定させ、準備を完了させておくとよいでしょう。
中学受験の準備で低学年のうちにやっておきたいこと

中学受験の本格的な準備を、低学年のうちに始めるのはまだ早いという点について、ご紹介しました。
しかし、低学年のうちにできることは多くあります。
次は、中学受験に備えて小学校低学年のうちにしておきたいことについて、お話します。
基礎学力を身につける
小学校低学年のうちに中学受験に関する準備をする場合、基礎学力を身に着けておくことが大切です。
「具体的な受験対策として特定の勉強を行う」というよりは、昔でいう「読み」、「書き」、「そろばん」に該当する能力を身に着けること。
具体的には、
- 計算
- 漢字
- 文章読解
といった能力です。こうした能力を身に着けるために、今学校でしている勉強をしっかり定着させることが大切です。
これらを身に着けていきながら、思考力・判断力・表現力といった、ペーパーテストに表れづらい能力もトレーニングしていきます。
小学生新聞を一緒に読んでみる。日常の小さな疑問について、一緒に考えてみる。しつけの際、「なぜだめだと思う?」と問いかけてみる。こうした小さな「考える機会」を作ってあげることは、お子さんの成長を大きく促します。
例えば、苦手な野菜を残そうとしたお子さんに、「この野菜を残されたら、作った農家さんはどう思うかな?」と問いかけてみるだけでも、考える機会を提供することにつながります。
勉強やこうした体験を通して、「今後に実施されていく具体的な受験対策」に備えた「基礎の基礎」を作っていく段階が、小学校低学年です。
学習習慣を身につける
低学年のうちに学習習慣が定着することは、中学受験において大きなアドバンテージです。
なぜなら、勉強が当たり前になっているお子さんとそうでないお子さんとでは、勉強に対するモチベーションの保ちやすさが異なるからです。
また、「勉強」から「中学受験対策の勉強」への移行もずっとスムーズになります。
お子さんに、学校の授業が「わかる」、学校の宿題が「できる」という小さな成功体験を積ませてあげましょう。こうした成功体験を通して、「わかること・できることは、楽しいことなんだ」と、教えてあげられます。
家庭学習を習慣づけ、毎日同じ時間に家で勉強する。早期にこうした習慣を身に着けられれば、今後の勉強において大いに役立ちます。
いろいろな体験をしておく
勉強に関することだけでなく、人生における経験も大切です。
近所へのお出かけや旅行、スポーツ、自然に触れたり、何かに挑戦したり、一緒に本を読んだりなど、さまざまな体験を通して、世の中のことを知り、好奇心を養いましょう。
体験を通した小さな発見、感じたこと、思ったこと。他にも、何かに挑戦して、試行錯誤して達成した、もしくは達成できなかったという過程。
そうした経験がお子さんの中に、勉強だけでない学びを蓄積していきます。
大人にとって当たり前の毎日にも、お子さんにとっては新しいことの連続。特別な体験を意識しなくとも、大丈夫です。
お子さんと毎日の暮らしの中にある気づきを共有することで、学力だけでなく、心を養うことができます。
中学受験のために保護者の方ができること

中学受験は、お子さんの努力だけでなく、保護者の方の協力も必要不可欠です。
中学受験に備えて、今から保護者の方ができることをご紹介します。
学習環境を整える
お子さんが集中して勉強に取り組める環境を整えるのは、保護者の方ができる大きな手助けの一つ。
静かに勉強できる環境を用意するだけでなく、明るい照明のもとで勉強できるようにしたり、机といすの高さを体の成長にあわせて調整してあげるなど、机に向かいやすい状態を作ってあげましょう。
また、わからないことをお子さんと一緒に考え、勉強を教えてあげるのも、保護者の方の家庭学習における大きな役割です。
健康管理や生活習慣管理
お子さんの体の健康と生活習慣の形成については、保護者の方の助けが必要です。
例えば、早寝早起きは大切……と思いつつ、大人でもなかなか実行できないもの。お子さんであれば、なおさらと考えるべきです。大人として、早寝早起きに一定の強制力を与えることも大切です。
規則正しい生活習慣が下地にあれば、その中にスムーズに勉強時間を組み込めるでしょう。反対に、規則正しい生活がままならないまま勉強を生活の一部とするのは大変です。
また、健康という面においては、偏った食事にも注意しましょう。この点、家庭の食事が大きくかかわり、お子さん自身の力ではコントロールしきれないものでもあります。
健康や生活習慣は、勉強の効率に大きな影響を与えます。これらをきちんと整えることは、中学受験対策の第一歩となるでしょう。
モチベーションの維持
勉強や受験に関するモチベーションを保つ精神的なサポートは、保護者の方ができる、大きな手助けです。
そのため、お子さんの生活を勉強一辺倒にするのではなく、遊びと勉強のバランスを取ることを意識しましょう。
加えて、「勉強に取り組んだ事実」を日頃から認め、言葉にして伝えることが効果的です。
たった5分であったとしても、子どもが自分で勉強に取り組もうとした行為を褒めてあげる。これをしてあげられるのは、保護者の方だけです。
お子さんはまだ小さく、ただ「やらなきゃだめだよ」といっても、なかなかそれを実感するのは難しいもの。だからこそ、保護者の方との関係性によって、背中を押してあげることが大切です。
まとめ
中学受験の準備を始めるベストタイミングは、小学3年生です。中学受験の意思について話し合いを終え、小学3年生の2月に入塾を終えられるようにしておけると理想的です。
塾に通い始めるのは、小学4年生がベスト。塾の中学受験カリキュラムも始まり、環境的にも追い風です。
小学4年生の段階で塾に通っている状態を作っておくように、準備しておきましょう。
小学5年生、6年生でも一概に「遅い」とはいえませんが、シビアに結果を出すことや、タイトな勉強スケジュールをこなす、高いモチベーションが求められます。
反対に、小学1年生、2年生のうちは、現在の学校の授業や宿題にきちんと取り組むことが大切です。具体的な勉強の強化ではなく、小さな成功体験を積み上げさせることで、勉強の楽しさを伝えましょう。
中学受験の受験を小学校低学年のうちに意識する場合、基礎学力と学習習慣の定着、勉強以外のさまざまな経験をしておくことが大切です。
保護者の方ができることとしては、学習環境を整える、健康管理や生活管理、モチベーションの維持などが挙げられます。
今回は、中学受験の準備を始めるタイミングについてお話しました。
中学受験は準備に長い時間がかかり、スタートタイミングによってお子さんにかかる負担や、スケジュールの余裕が大きく異なります。
今回ご紹介した内容が、お子さんの中学受験の準備をベストタイミングで始める参考になればと思います。